Review Article

サイトカインの薬理学と治療学の新たな原理

Nature Reviews Drug Discovery 22, 1 doi: 10.1038/s41573-022-00557-6

サイトカインは、免疫応答の開始、維持、終結に極めて重要な役割を果たしている分泌型シグナル伝達タンパク質である。サイトカインには、免疫機能を制御するという独特な能力があり、そのため、がん、自己免疫と感染症との関連で臨床的関心を集めているが、サイトカインを用いた治療法の使用は限定的なものになっている。その一因は、サイトカインが多種類の細胞に作用し、多様な生物学的機能に影響を及ぼすことであり、その結果として用量制限毒性を発現し、あるいは有効性不足となっている。構造生物学、タンパク質工学と受容体薬理学を組み合わせた最近の研究で、サイトカイン受容体の活性化機構に関する新しい知見を得られ、サイトカイン機能の多くの側面が高度に調整可能であることが実証された。本論文では、重要なシグナル伝達分子群の1つであるサイトカインの多面作用性を克服し、治療への利用可能性を高めるための取り組みの根底にある薬理学的原理について考察する。

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