Review Article
機能的にとらえどころのないTAM受容体ファミリーの治療標的化
Nature Reviews Drug Discovery 23, 3 doi: 10.1038/s41573-023-00846-8
TYRO3、AXL、MERTKからなるTAM受容体ファミリーは、組織の恒常性と免疫の恒常性を調節している。TAM受容体シグナル伝達異常は、がん、繊維症、ウイルス感染症などのさまざまな疾患と関連している。特に、TAM受容体の調節不全は、複数の発がん経路に関与するため、腫瘍の増殖と転移を促進する可能性がある。例えば、TAM受容体は、上皮間葉転換、がん幹細胞表現型の維持、免疫調節、増殖、血管新生、従来の治療法や標的療法に対する抵抗性に関与している。治療面では、複数のTAM受容体阻害剤が、がんなどの適応症を対象とした前臨床開発あるいは臨床開発段階にあり、AXLを標的とする阻害剤が臨床的に最も進んでいる。近年の顕著な臨床的進展が見られているが、課題は依然として存在している。本総説の目的は、TAM受容体阻害剤による現在の治療状況について生物学的洞察と臨床的洞察を示し、がんと非悪性疾患の治療におけるTAM受容体阻害剤の可能性を評価することである。