Review Article

低酸素誘導因子の治療標的化:治療機会と課題

Nature Reviews Drug Discovery 23, 3 doi: 10.1038/s41573-023-00848-6

低酸素誘導因子(HIF)は、後生動物に高度に保存された転写因子で、酸素量が少ない状態への適応に極めて重要である。近年、HIFの活性化と阻害が、さまざまなヒト疾患における治療標的として浮上してきた。HIFの活性化による薬理学的に望ましい効果には、赤血球形成の刺激、低酸素状態下の細胞の代謝の最適化ならびに虚血時および炎症時の適応応答が含まれる。これに対して、HIFの阻害は、さまざまながん、網膜血管新生および肺高血圧症の治療法として検討されている。本総説では、HIFの安定化を制御する生化学的機構およびHIFを活性化または阻害するために薬理学的に利用できる分子戦略を論じる。それに加えて、HIFの治療標的化の恩恵を受ける疾患、HIFの活性化または阻害によって生じる可能性のある副作用およびこの分野の将来課題も検討する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度