Research Abstract
福島原子力発電所事故後の放射性セシウムが雄ウシ精巣に与える効果
Effects of radioactive caesium on bull testes after the Fukushima nuclear plant accident
2013年10月8日 Scientific Reports 3 : 2850 doi: 10.1038/srep02850
本研究では、福島第一原子力発電所事故に関連する慢性放射線被ばくが、2頭の雄ウシの精巣に与える影響についての調査を目的とした。1頭の雄ウシにおいては、内部被ばく線量は0.7~1.2 mGy(134Cs)および0.4~0.6 mGy(137Cs)と推定され、外部被ばく線量は2.0 mGy(134Cs)および0.8 mGy(137Cs)(196日間)であった。もう1頭の雄ウシにおいては、内部被ばく線量は3.2~6.1 mGy(134Cs)および1.8~3.4 mGy(137Cs)と推定され、外部被曝量は1.3 mGy(134Cs)および0.6 mGy(137Cs)(315日間)であった。精子の形態および精子形成は正常範囲内であった。ゲルマニウム半導体検出器では、134, 137Cs放射能は検出されたが、電子線マイクロアナライザーを用いた場合、Csは精巣では検出されなかった。従って、上述レベルの放射線の最大10か月までの慢性被ばく後に、明らかに有害な放射線影響は雄ウシ精巣では観察されなかった。今回、我々は、限られた数の精巣しか解析できなかったので、精子形成に与える電離放射線の影響についてのさらなる調査を、より多くの動物に拡大すべきである。
山城 秀昭1, 阿部 靖之2, 福田 智一3, 木野 康志4, 川口 勇生5, 桑原 義和6, 福本 基6, 高橋 慎太郎6, 鈴木 正敏6, 小林 仁7, 植松 恵美1, トウ ビン1, 山田 宜永1, 吉田 聡5, 佐藤 英明3, 篠田 壽8, 関根 勉4, 磯貝 恵美子3 & 福本 学6
- 新潟大学 農学部
- 山形大学 理工学研究科
- 東北大学 農学研究科
- 東北大学 理学研究科
- 独立行政法人 放射線医学総合研究所
- 東北大学 加齢医学研究所
- 宮城大学 食産業学部
- 東北大学 歯学研究科
We aimed to investigate the effect of chronic radiation exposure associated with the Fukushima Daiichi Nuclear Plant accident on the testis from 2 bulls. Estimated dose of internal exposure in one bull was 0.7–1.2 mGy (134Cs) and 0.4–0.6 mGy (137Cs) and external exposure was 2.0 mGy (134Cs) and 0.8 mGy (137Cs) (196 days). Internal dose in the other was 3.2–6.1 mGy (134Cs) and 1.8–3.4 mGy (137Cs) and external dose was 1.3 mGy (134Cs) and 0.6 mGy (137Cs) (315 days). Sperm morphology and spermatogenesis were within normal ranges. 134, 137Cs radioactivity was detected but Cs was not detectable in the testis by electron probe microanalysis. Thus, adverse radiation-induced effects were not observed in bull testes following chronic exposure to the above levels of radiation for up to 10 months. Since we could analyse a limited number of testes, further investigation on the effects of ionizing radiation on spermatogenesis should be extended to more animals.