2014年2月号Volume 11 Number 2

遺伝子改変技術に新時代到来!

「遺伝子改変サルを作ろうなんて、想像すらできなかった」。霊長類は、マウスに比べて飼育に費用がかかり、また繁殖が容易ではない上に時間がかかる。だが、ヒト疾患モデルとして使える「遺伝子改変サル」が現実味を帯びてきた。近年登場した「ゲノム編集」技術ならば胚を1つずつ操作可能で、遺伝子改変動物を効率よく得ることができるのだ。この先頭を走る慶應義塾大学の佐々木えりか氏と岡野栄之氏は、2013年11月の米国神経科学学会でそれぞれ、免疫不全マーモセットと自閉症マーモセット作出に向けた取り組みについて発表した。

Editorials

Top of page ⤴

Research Highlights

Top of page ⤴

News

今回、ネアンデルタール人とデニソワ人のゲノムの復元に成功し、高品質ゲノムが得られた。解析結果から、未知の古代人集団の存在が示唆され、さらにこれら3種と現生人類の間で種間交雑が行われていたことが示唆された。

オオトカゲ類の呼吸様式は鳥類に近いことが、今回明らかになった。この爬虫類が太古から今日までさまざまな環境で生き延びることができた理由は、その呼吸様式にあるのかもしれない。

大気中の二酸化炭素濃度が長期的に上昇し続けている様子を世界で初めて明らかにしたキーリング曲線。この観測記録が、資金難のために途絶の危機に瀕している。

LHCで得られた膨大な量の実験データの管理方法について、研究者たちは頭を悩ませている。データだけでなく、実験に用いたソフトウエアなども保管しなければ、いずれはデータを解読できなくなってしまうからだ。そこで検討されているのが、データの公開だ。

次世代の遺伝子改変技術として注目を集める「ゲノム編集」の登場で、ヒト疾患モデルとなる遺伝子改変サル作出に期待が高まっている。

Top of page ⤴

News Features

2013年も、さまざまな科学的な探査や解析が進み、我々の宇宙からは次々と驚きや感動がもたらされました。この1年の間に、巨大なものから微細なものまで至るところに科学の目が注がれ、宇宙空間の鮮やかな光景や、分子を互いに結び付ける結合そのものの画像などが捉えられました。この特集では、Nature が選んだ、科学、そして自然の素晴らしさを実感できる画像をお届けします。

ヒトのニューロンをヒントにしたコンピューター・チップなら、より少ない電力で、より多くの計算をすることができる。

Top of page ⤴

Japanese Author

iPS細胞から、さまざまな細胞に分化誘導する研究が加速する一方で、体細胞を他の種類の体細胞に直接誘導する「ダイレクト・リプログラミング」も検討されている。このほど、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の妻木範行教授らは、ヒトの線維芽細胞から、直接、軟骨細胞様の細胞を作り出すことに成功した。

Top of page ⤴

News & Views

「希少雄効果」は、配偶者選択を強く受ける形質で遺伝的多様性が維持されている謎を説明する旧来の仮説だ。今回、これを支持するこれまでで最も決定的な証拠が、グッピーの研究から得られた。

海岸に生息する海藻には打ち寄せる波から繰り返し力がかかり、その力による組織の疲労は海藻の死につながりかねない。しかし、ある海藻を観察したところ、その茎状の部分の節の構造には横方向の結合がなく、巧妙な仕組みで負荷による疲労に耐えていることが分かった。

Top of page ⤴

News Scan

巨大恐竜は体が壊れないよう、一歩ずつゆっくりと歩いていたようだ

スコットランド産の花崗岩がカーリングに最適な理由

Top of page ⤴