2015年3月号Volume 12 Number 3
地球上の生物
地球はこれまでに5度の大量絶滅を経験しており、今日までに95%以上の生物種が姿を消したと考えられている。そして現在、人類の活動により生物が次々と姿を消しており、世界各国は保護区を増やしているものの、今後数百年の間に6度目の大量絶滅が起こると危惧されている。生物種の消滅の速度を弾き出し、地球の将来を予測しようと、産学官が力を合わせて困難極まりない「地球上の全ての生物をモデル化する」という作業に取り組んでいる。
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アインシュタインの思考実験を実現
Editorial
News
「微生物ダークマター」から見いだされた希望の光
培養不能な細菌を培養する画期的な装置が確立され、MRSAなどの薬剤耐性菌を死滅させる新規抗生物質が見つかった。
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ヒト幹細胞から卵や精子の前駆細胞を高効率で作製
ヒトの始原生殖細胞を多能性幹細胞から高効率で作製する方法が開発された。そこから、ヒトの始原生殖細胞形成のカギとなる因子が明らかになった。
ゲーム理論がポーカーを「解いた」
「基本的に無敵」なポーカーのアルゴリズムが開発された。
ケプラー宇宙望遠鏡、地球型惑星を多数発見
ケプラー宇宙望遠鏡による観測データから新たに8個の惑星が確認された。その中には、これまでで最も地球に似ているものが2つ含まれている。
疑問視される人工気管移植手術
カロリンスカ研究所は、実験的に行われた移植手術に対し2件の調査を行っている。
壮大な鳥類系統樹が完成
鳥類48種の進化解析結果が報告された。これまでで最も網羅的な系統樹の裏には、志を1つにした研究者たちの大規模な共同研究があった。
自己T細胞移入療法でがん患者の生存期間が延長
難治性の白血病やリンパ腫を対象とした遺伝子改変T細胞療法の臨床試験で有望な結果が集まりつつある。
億万長者が細胞生物学の研究所設立
マイクロソフト社の共同創業者Paul Allenが、脳科学研究所に続いて、細胞挙動の研究とシミュレーションを行う細胞科学研究所を設立した。
News Features
地球上の生物―その現状は?
現在、地球上からは生物種が次々と姿を消しており、次なる大量絶滅の発生も時間の問題ではないかと危惧されている。だが、その深刻さを正確に評価して対策を講じるのに必要な現状把握は、実際のところ極めて難しい。
量子コンピューターが現実になる日
量子の奇妙な性質を計算に利用しようとする物理学者たちは、30年に及ぶ奮闘の果てに、ついにゴールが見えるところまでやってきた。
Japanese Author
脳の中に記憶の正体を探す
「脳の研究にとって、こんなにワクワクする時代はないと思います」。脳の高次機能の研究に長年取り組み、特に記憶のメカニズムの解明で世界を牽引してきた東京大学大学院医学系研究科の宮下保司教授は目を輝かせる。脳科学者にとって、テクノロジーのブレークスルーが起きているからだという。30年間の研究を振り返りつつ、宮下教授は興味の尽きない研究の将来を語る。
News & Views
多能性状態を操作するための手引き
偏りのない解析で、iPS細胞の再プログラム化から万能性獲得までの過程には複数の経路があることが明らかになり、そこから、これまで見落とされていた新しいタイプの多能性細胞の存在が確認された。
毎秒1000億コマの超高速撮影技術
超高速現象を毎秒1000億フレーム(コマ)の速さで記録できる、新たな画像撮影技術が開発された。1回きりで繰り返さない現象でも捉えることができ、ストロボやフラッシュも必要ない。この技術は、生物医学やセキュリティー技術に応用できる可能性がある。
News Scan
新種の化学結合
1980年代に予言された「振動結合」の存在を確認
ハドロ対ティラノ
解剖学に基づくレース予想