2017年12月号Volume 14 Number 12

細胞をつなぐナノチューブ

細胞から細く長く伸びるワイヤー状の管。サイトネームやトンネルナノチューブと呼ばれるこの管は、離れた細胞に物資を輸送する連絡路であることが分かってきた。当初は「培養皿に付いた傷ではないか」と、存在自体が疑われたが、2015年にがん細胞や細菌もこれを利用して拡散している可能性が示されたことで、注目が集まっている。

Editorial

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News

重力波の源を光でも観測することに初めて成功し、重い元素の生成過程など、宇宙のいくつかの謎の解明に大きく近づいた。

ヨーロッパヒキガエルのオタマジャクシが、同種のライバルの数に応じて毒の強さを変えることが明らかになった。これは、動物の毒性が、捕食者ではなく競争者の増加によって増強されることを示した初めての例である。

過去の年齢調査データを見直したところ過小評価は3割に上り、個体が高齢になるほど顕著であった。この誤りは、サメの保全計画を土台から揺るがす可能性がある。

学術機関における男女共同参画の推進度合いを格付けする英国の「アテネ・スワン」が、世界に広がりつつある。米国では、人種と障害にまで範囲を広げた計画の導入準備が進められている。

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News Feature

1999年に報告された、細胞から細く長く伸びるワイヤー状の管。これまで評価されていなかったこの細胞間連絡は、がん細胞や細菌にも利用され、それらが広がるのを助けている可能性が出てきた。

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Japanese Author

Free access

理化学研究所主宰の哺乳類ゲノムの国際研究コンソーシアム、FANTOM。現在の第5期FANTOM5では、500種類以上の細胞(臓器由来含む)ついて、ゲノムから転写されたRNAが網羅的に測定・解析された。FANTOM5データの多くはすでに公開済みだが、データ取得プロセスや試料の品質、データ処理などを詳しく記述した報告は、今回のScientific Data が初めてだ。同時に、FANTOM5などの遺伝子発現データを簡単に検索・閲覧できるウェブツール「RefEx」に関する論文も同誌に報告。公開データの活用を促すこれらの研究に尽力した4人のデータサイエンティストに話を伺った。

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News & Views

娘細胞が増殖するか静止状態になるかは、母細胞から受け継いだ2つの分子で決まることが、生細胞イメージングで明らかになった。今回の知見によって、新しく生じた娘細胞の振る舞いが、その母細胞の状態によって決められる仕組みについての洞察がもたらされた。

アンモニアから亜硝酸への酸化と、亜硝酸から硝酸への酸化の両方を行うことができる細菌の純粋培養に、初めて成功した。意外にもこの細菌は、アンモニアから亜硝酸への酸化のみを行う多くの培養微生物よりも、アンモニアの乏しい環境によく適応しているようだ。

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News Scan

北極の生物にヒントを得た化合物で移植用臓器を長持ちさせる試み。

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