Letter 哺乳類細胞においてヒストンメチルトランスフェラーゼSuv39h1およびSuv39h2が行うテロメア長のエピジェネティック制御 2004年1月1日 Nature Genetics 36, 1 doi: 10.1038/ng1278 テロメアは真核生物の染色体の末端をキャップする構造をもっており、TTAGGGの反復配列が一連の特殊なタンパク質と結びついた形で存在している。テロメアはヘテロクロマチン領域である。クロマチンの状態を修飾する活性を欠損した酵母とショウジョウバエでは、テロメアの機能も異常であるが、哺乳類では、クロマチン修飾活性がテロメアを調節する役割についてはわかっていない。我々は、今回ヒストンメチルトランスフェラーゼ(HMTase)であるSuv39h1とSuv39h2の両方の機能がなくなったマウス(SUV39DNマウスと呼ぶ)におけるテロメアの長さと機能について報告する。Suv39h1とSuv39h2は、ヘテロクロマチン領域においてヒストンH3のLys9(H3-Lys9)のメチル化を制御している。我々は、SUV39DNマウスから得られた初代培養細胞は、野生型対照マウスから得られた細胞に比べて異常に長いテロメアをもっていることを明らかにした。クロマチン免疫沈降法(ChIP)を用いて、我々はテロメアにはジメチル化およびトリメチル化されたH3-Lys9が多いことを発見したが、SUV39DN細胞ではジメチル化およびトリメチル化されたH3-Lys9が少なく、モノメチル化されたH3-Lys9が多いことがわかった。H3-Lys9のメチル化レベルが減少していることに一致して、SUV39DN細胞のテロメアは、クロモボックスタンパク質であり、ショウジョウバエのヘテロクロマチンタンパク質1(HP1)のホモログであるCbx1, Cbx3, Cbx5に対する結合が減少していた。これらの事実は、SUV39DN細胞ではテロメアのヘテロクロマチンの状態が大きく変化しており、異常にテロメアが長くなっていることを示している。総括すると、これらの結果は哺乳類においてSuv39h1とSuv39h2がテロメアの長さをエピジェネティックに制御していることを示している。 Full text PDF 目次へ戻る