Letter FKBP5における多型はうつ病エピソードの反復の増加および抗うつ剤治療に対する迅速な反応に関連する 2004年12月1日 Nature Genetics 36, 12 doi: 10.1038/ng1479 ストレスホルモンを調節する視床下部-脳下垂体-副腎(HPA)軸は、うつ病の治療のみならず原因にも関与することが指摘されている。我々は、HPA軸を調節する遺伝子と抗うつ剤に対する反応やうつ病感受性との関連について調べるため、うつ病患者とその対照者において、8つの遺伝子中の1塩基多型について遺伝子型の判定を行った。その結果、2つの独立した試料において、抗うつ剤に対する反応およびうつ病エピソードの反復とFKBP5(グルココルチコイド受容体を調節するhsp-90のコシャペロン)における1塩基多型の間に有意な関連を見いだした。これらの1塩基多型は、細胞内のFKBP5タンパク質の発現上昇にも関連していた。これはグルココルチコイド受容体における適応変化の引き金となり、その結果、HPA軸を調節する。この関連遺伝子型をもつ患者は、うつ病エピソードの間、HPA軸の亢進が少し抑えられた。我々は、HPA軸調節におけるFKBP5変異に依存した変化が、うつ病患者のこのサブグループで観察される抗うつ剤治療へのより速い反応とうつ病エピソードの反復の増加に関連するであろうと提案する。これらの所見は、うつ病の原因および抗うつ剤の作用機序において、HPA軸を調節する遺伝子が中心的役割をもつことを支持するものである。 Full text PDF 目次へ戻る