Letter 多数のPDZドメインをもつタンパク質GRIP1とフレイザー症候群タンパク質Fras1との直接的機能関連 2004年2月1日 Nature Genetics 36, 2 doi: 10.1038/ng1292 細胞は細胞外マトリックス(ECM)タンパク質に接着することで、組織の構造的統合や、器官形成における上皮-間充織相互作用を可能にしている。グルタミン酸受容体相互作用タンパク質(GRIP1)は,細胞質の足場タンパク質でPDZドメインを多数もつ。我々はこのタンパク質の欠損がどのようにして表皮下の出血性水疱や腎臓無形成、合指症、多指症、永久的な眼瞼の融合(潜伏眼球)を引き起こすのかを報告する。このような形成異常はフレイザー症候群の患者や、この遺伝性疾患の動物モデルであるマウス、たとえばECMタンパク質Fras1をコードする遺伝子に変異があり水疱が形成される(bl)マウスなどでもみられる。GRIP1はFras1と物理的に相互作用し、Fras1の細胞基底面への局在に必要であることが明らかとなった。また、フレイザー症候群の疾患モデルの1つである眼に水疱をもつ(eb)マウスでは、Grip1が2つのエキソン配列の欠損により破壊されていた。我々の研究結果は、GRIP1は初期胚発生における正常な細胞-マトリックス間相互作用に必要であり、Grip1の不活性化はフレイザー症候群様の症状をマウスに引き起すことを示している。 Full text PDF 目次へ戻る