Article 一連の証拠が統合失調症におけるAKT1-GSK3βシグナル伝達の障害を示す 2004年2月1日 Nature Genetics 36, 2 doi: 10.1038/ng1296 AKT-GSK3βシグナル伝達系はリチウムの標的であり、したがって気分障害の病因とかかわっている。我々はここに、このシグナル伝達経路が統合失調症においても一役を担っている証拠を提示する。なかでも特にAKT1タンパク質レベルの減少とGSK3βの9番目のセリンのリン酸化のレベルの減少が、統合失調症の患者の末梢リンパ球と脳において低下しているという一連の証拠を示す。統合失調症は、AKT1タンパク質レベルの低下をともなうAKT1ハプロタイプと有意な相関を示した。またAKT1の欠損によって、アンフェタミンの感覚運動連関の障害効果に対する感受性が増大した。我々の知見は、AKT1-GSK3βシグナル伝達の変化が統合失調症の原因となっていることを支持し、AKT1遺伝子が統合失調症の感受性遺伝子である可能性を示している。この主張と一貫性がある事実として、我々はハロペリドールを投与されたマウスにおいてAKT1のリン酸化調節が段階的に上昇していることを示し、これは統合失調症において障害されたこのシグナル伝達経路の機能を代償するものと考えた。 Full text PDF 目次へ戻る