Letter 弾性繊維のホメオスタシスに必要なリシルオキシダーゼ様タンパク質1 2004年2月1日 Nature Genetics 36, 2 doi: 10.1038/ng1297 弾性繊維は細胞外マトリックスに含まれており、組織に弾力性を供する働きを担っている。周期的なリモデリングが盛んに起こっている子宮組織を除き、弾性繊維はいったん形成されると非常に安定である。また、弾性繊維の減少は結合組織を老化させ、肺気腫等の重要な病気に関係していることが知られている。弾性線維を維持できなくなる理由は、エラスターゼと抗エラスターゼのバランスの不均衡で説明されているが、弾性線維の再形成に関する役割はほとんど不明である。今回、報告者らはリシルオキシダーゼ様タンパク質1(LOXL1)を欠失したマウスを作製し、そのマウスでは、分娩後の子宮壁において弾性線維が正常に沈着せず、骨盤臓器脱が起こること、また含気区域の拡大や、皮膚のたるみ、血管の異常が観察され、いろいろな組織でトロポエラスチンの蓄積をともなうことを明らかにした。もともとのリシルオキシダーゼとは異なり、LOXL1は弾性繊維形成が起こっている部位に局在しており、フィブリン5と相互作用することも示された。以上の結果より、弾性線維の維持にはエラスチン多量体の沈着が非常に重要であり、この過程においてLOXL1の働きが必須であること、また、LOXL1は架橋酵素および足場タンパク質としての機能を担うことにより、エラスチンの適正な組織局在を可能にしていることが示された。 Full text PDF 目次へ戻る