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インディアン・ヘッジホッグは大腸上皮細胞分化におけるWntシグナル伝達のアンタゴニストである

Nature Genetics 36, 3 doi: 10.1038/ng1304

Wntシグナル伝達は大腸上皮前駆細胞の表現型を定め、また、Wnt経路を活性化する大腸ポリポーシス(APC)遺伝子の変異は、家族性大腸ポリポーシス(FAP)症候群と大部分の散発性大腸癌の原因である。上皮前駆細胞からその分化細胞への移行を制御する機構の特性はほとんど明らかにされていない。我々は、インディアン・ヘッジホッグ(Ihh)が成熟した大腸細胞に発現しており、in vitroおよびin vivoにおいてその分化を制御していることを報告する。ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達は、in vivoにおいてWntの標的分子の発現を大腸陰窩の基底に限定し、in vitroにおいて、大腸癌細胞にIhhを導入すると、核内のTCF4-β-カテニン複合体の両方の構成因子が減少し、内因性のWntシグナル伝達が阻害される。逆に、Ihhの発現はFAP患者のポリープで減少しており、また、APCに変異があるDLD-1大腸癌細胞においてドキシサイクリンでの誘導によってTCF4のドミナントネガティブ変異体 (dnTCF4)を発現させると、Ihhの発現が回復する。これらのデータは、大腸上皮新生において新しいWnt-Hh軸を同定するものである。

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