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ショウジョウバエ Drosophila melanogasterにおける感覚器官形成のための保存された発生プログラム

Nature Genetics 36, 3 doi: 10.1038/ng1308

眼や耳のような各感覚器官は、別々の起源をもち、その発生のすべてを方向づける独自の器官特異的因子群によって誘導されると一般的に考えられている。ショウジョウバエDrosophila melanogasterのeyeless (ey)遺伝子とその脊椎動物ホモログであるPax6遺伝子に関するこれまでの研究から、この遺伝子は前述のように作用して眼を特異的に発生させることが示唆されていた。しかしながら、多様な感覚器官はむしろ、感覚器官形成に普遍的な発生プログラムを体節特異的に修飾することにより生じるのかもしれない。ショウジョウバエにおいては、atonal (ato)と呼ばれる共通の前神経遺伝子が、複眼、聴覚器官および伸展受容器を含めた多くの体節特異的器官の発生開始過程に機能している。このことは、これらの器官が進化上の起源を共有することを示唆している。今回我々は、decapentaplegic (dpp)、wingless (wg)およびエクジソンの各シグナルがato遺伝子のシス調節領域の1つに統合されることにより、ショウジョウバエの体節特異的な各感覚器官が形成されることを示す。また、eyによる異所性複眼の誘導もatoの発現に関与するこれらのシグナルに依存しており、細胞死を阻害すればey変異体の眼原基にatoの発現が認められる。これらの結果から、eyは眼の形態形成プログラムすべてを誘導するのではなく、むしろato依存的な神経の発生を修飾していると考えられる。我々の所見は、さまざまな感覚器官が、eyおよびHox遺伝子群による体節の特異化を通して、ato依存的な原始感覚器官から進化したことを強く示唆するものである。

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