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Rbはマウス網膜において細胞増殖と桿体視細胞の発生を制御している

Nature Genetics 36, 4 doi: 10.1038/ng1318

網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)は中枢神経系の発生において、細胞の増殖や細胞運命の決定、分化を制御している。しかし、Rbを欠損する胚は網膜が完成する前に致死となるため、マウスの網膜発生におけるRbの機能はこれまで研究されてこなかった。今回我々は複数の遺伝学的手法を組み合わせて用い、マウス網膜におけるRbの機能解析を行った。その結果、出生後の発生において、Rbは増殖する網膜前駆細胞と分化する桿体視細胞で発現していることが明らかとなった。またRbの非存在下では、前駆細胞は分裂しつづけ、桿体細胞は成熟しないことがわかった。Rbがこれらの過程において細胞自律的に機能するのか否かを調べるために、Cre組換え酵素をコードし複製能をもたないレトロウイルスを用いて、網膜前駆細胞個々のRb1lox対立遺伝子をin vivoにおいて不活化した。このCre遺伝子導入マウスをかけ合わせRb1を条件的に不活化した研究の結果も考慮し、Rbは細胞自律的に機能し、網膜前駆細胞の適切な細胞周期脱出や桿体細胞の発生に必要であると結論づけられる。

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