Letter

眼顔面心歯症候群(OFCD)とレンツ小眼球症は、BCORに生じた2種類の変異によって起こる

Nature Genetics 36, 4 doi: 10.1038/ng1321

レンツ小眼球症はX染色体に連鎖して劣勢遺伝し、小眼球症のほか、精神遅滞、骨格などの異常をともなう。この症候群に関係する2か所の遺伝子座、MAA(小眼球症および関連する異常)およびMAA2は、それぞれXq27-q28およびXp11.4-p21.2に位置している。我々は以前に、MAA2の遺伝子座を特定する際に用いられたレンツ症候群家系に属しこの症候群を発症している男性において、BCOR(BCL-6 をコードしている)の変異、すなわち254番目のCがTに置換(P85L、85番目のプロリンがロイシンに置換)している変異を同定した。眼顔面心歯(oculofaciocardiodental)症候群(OFCD、OMIM 300166)はX染色体連鎖性の優性遺伝をするもので、男性ではおそらく致死性であり、小眼球、先天性白内障、神経根肥大、心臓および指の異常をともなう。これら2つの症候群が共通する症状を呈することから、我々はOFCDとMAA2関連性レンツ小眼球症は1つの遺伝子(一対の対立遺伝子)の変異であると考え、OFCDを患った7つの家系から、BCORにおける種々のフレームシフト、欠失、およびナンセンス変異を発見した。BCOR P85LとOFCD変異型BCORは、野生型BCORと同じように、BCL-6と相互作用して転写抑制効果を発揮することができる。このことから、これらの症候群はBCORのもつ他の機能、例えばBCL-6以外の転写調節因子との相互作用の障害などによって引き起こされることが示唆される。我々はゼブラフィッシュ(Danio rerio)におけるBCORのオーソログをクローニングし、このオーソログをノックダウンするとヒトの症候群に合致するような眼、骨格、および中枢神経系の発達異常が起こることを見出して、BCORが発生初期における重要な転写調節因子であることを確認した。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度