Letter 低分子量Gタンパク質Rasスーパーファミリーに属するタンパク質に生じた変異はバルデー-ビードル症候群を引き起こす 2004年9月4日 Nature Genetics 36, 9 doi: 10.1038/ng1414 RAB、ADPリボシル化因子(ADP-ribosylation factor:ARF)、ARF様(ARF-like:ARL)タンパク質は、低分子量GTP結合タンパク質(Gタンパク質)であるRasスーパーファミリーに属しており、生体膜を介した細胞内輸送(メンブレン・トラフィッキング)過程に必須である。Rasファミリーに属するおよそ50の既知タンパク質はいずれもヒトの疾患に関連していない。我々は、繊毛遺伝子に対して変異解析と同時にバイオインフォマティクスを用いたスクリーニングを行い、肥満、失明、多指、腎異常、認知機能障害を特徴とする多臓器性機能障害、バルデー-ビードル症候群(Bardet-Biedl syndrome:BBS)3型の原因遺伝子であるARL6を同定した。さらに、4つの血縁関係のないBBS罹患家系において、ARL6に4つの異なるホモ接合性アミノ酸置換が生じており、このうち2例では、GTPの結合や、いくつかの関連低分子Gタンパク質の機能に重要なスレオニン残基が破壊されていることを明らかにした。線虫Caenorhabditis elegansにおけるARL6相同遺伝子の解析から、この遺伝子が繊毛細胞で特異的に発現していること、さらに、予想された細胞質での機能以外に、ARLタンパク質は鞭毛内輸送(intraflagellar transport:IFT)を行うことが示唆されている。これらの結果は低分子量Gタンパク質が、繊毛による輸送と多機能障害の病因に関与していることを示すものである。 Full text PDF 目次へ戻る