Letter 乱雑なタンパク質機能のもつ「進化能(進化可能性)」 2005年1月1日 Nature Genetics 37, 1 doi: 10.1038/ng1482 新しい機能(例えば、薬剤耐性や抗生物質耐性、または化学製品の分解能)をもつタンパク質が、数カ月あるいは数年間のうちに進化していく機序については明らかになっていない。この能力は、少数の突然変異が新たな表現形質を誘導することで獲得されうる(可塑性)。しかし、突然変異は生き残りに不可欠な機能に対して有害な影響を及ぼすことが多い。このような一見相反する要件が、タンパク質1分子のレベルにおいてどのように解決されているのだろうか。分子設計による試験管内進化(進化分子工学)の結果は、本来の機能へはほとんど影響しないけれども、進化の出発点である未選択の乱雑な機能には大きく影響する突然変異によって、タンパク質の新しい機能の進化が決定されることを示唆している。したがって、進化途上のタンパク質は最初に、元来の機能を失うことなく新たな機能への適応度の増加を獲得している可能性がある。それに続いて、遺伝子重複やまったく新しいタンパク質の分岐が起こると考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る