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レット症候群におけるサイレントクロマチンのループ形成の欠如およびDLX5のインプリンティング異常

Nature Genetics 37, 1 doi: 10.1038/ng1491

MECP2の変異は、X連鎖性神経発達障害であるレット症候群に関連する。Mecp2が標的とする遺伝子を同定するために、我々はマウス脳においてin vivoでのMecp2結合部位100個の配列を決定した。いくつかの配列が、第6染色体のインプリンティングを受けている遺伝子クラスターに位置しており、その中にはDlx5およびDlx6が含まれている。Dlx5およびDlx6の転写は、野生型マウスの脳と比較して、Mecp2欠損マウスの脳ではおよそ2倍に上昇していた。DLX5では母親由来の遺伝子が発現するが、レット症候群患者由来のリンパ芽球細胞で、このインプリンティングが消失していた。Dlx5はγ-アミノ酪酸(GABA)を合成する酵素の生成を調節するので、Dlx5のインプリンティングの消失は、レット症候群患者において、GABA性ニューロン活性を変化させるかもしれない。マウス脳においては、Dlx5のインプリンティングは緩和されていて、母親父親両由来の遺伝子から発現されるが、それでも、野生型マウス脳のDlx5-Dlx6遺伝子座ではMecp2を介するクロマチン不活性型構造が存在するのに対し、Mecp2欠損マウス脳では存在しなかった。Mecp2は、ヒストン脱アセチル化酵素1の標的部位をDlx5-Dlx6遺伝子座の1kbたらずの領域に明確に定め、この部位でのヒストンLys9のメチル化抑制を促進した。クロマチン免疫沈降と組み合わせたループアッセイにより、Mecp2がDlx5-Dlx6遺伝子座に不活性型クロマチン由来の11kbのクロマチンループを形成させていることがわかった。このループは、Mecp2欠損マウス脳のクロマチンにおいては認められず、Dlx5-Dlx6ははるかに離れた配列と相互作用し、活性型クロマチンに関連する別個のループのみを形成していた。これらの結果は、不活性型クロマチンループの形成が、Mecp2による遺伝子調節の基礎をなす新たな機構であることを示すものである。

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