Article Spink5欠損マウスは、表皮のタンパク質分解酵素の活性亢進によるデスモグレイン1の分解を介してネザートン症候群に類似した症状を呈する 2005年1月1日 Nature Genetics 37, 1 doi: 10.1038/ng1493 セリンプロテアーゼ阻害物質LEKTIをコードするSPINK5の変異は、重症常染色体劣性遺伝性皮膚疾患であるネザートン症候群(Netherton syndrome)の原因となる。Spink5-/-マウスは、落屑異常、角化機能の異常、毛髪の形態異常、皮膚の防御(バリア)機能の低下をはじめとする、ネザートン症候群の重要な特徴を忠実に再現している。LEKTIの欠損は、角質層におけるトリプシンおよびキモトリプシン様酵素の活性亢進に起因するデスモグレイン1(desmoglein 1)の分解によって、顆粒層上層におけるデスモソームの異常切断を引き起こす。このため角質層の接着が不完全となり、結果として皮膚のバリア機能が失われる。プロフィラグリンのプロセシングは増加しており、LEKTIが角化過程に関与していることを示唆している。本研究は、LEKTIが表皮のタンパク質分解酵素の活性に対する主要調節因子であり、デスモグレイン1の分解がネザートン症候群の病因となる主な事象であることを明らかにするものである。 Full text PDF 目次へ戻る