Technical Report 安定かつ調節可能な合成マイクロRNA前駆体を用いた癌の形質の探索 2005年11月1日 Nature Genetics 37, 11 doi: 10.1038/ng1651 RNA干渉は、哺乳類の遺伝子発現を抑制する強力な方法である。安定したノックダウンは、合成した短いヘアピンRNAを継続的に発現させることによって可能となり、典型的にはRNAポリメラーゼIIIプロモーターを使って発現させる。しかし、RNA干渉の内在性トリガーであるマイクロRNA一次転写産物は、通常はRNAポリメラーゼIIによって作られる。そこで我々は、一次マイクロRNAにもとづいて合理的にデザインした、短いヘアピンRNAを発現するRNAポリメラーゼIIプロモーターが、ゲノム中にたとえ1コピーしかなくても、培養細胞や動物体において強力かつ安定で、なおかつ調節可能なノックダウンを起こすことを示す。なかでも注目すべきは、テトラサイクリンにもとづく系を使って、Trp53のノックダウンをきっちりと調節することにより、培養したマウスの線維芽細胞が増幅状態と老化状態の間で転換させうること、また、Trp53の抑制と癌遺伝子の作用により誘発された腫瘍がTrp53を再び発現させることによりもとに戻ることである。このマイクロRNAにもとづく短いヘアピンRNAベクターシステムは、cDNAの過剰発現系と非常によく似ており、細胞や動物体において遺伝子の機能を研究する強力な方法である。 Full text PDF 目次へ戻る