Article アスポリンのアスパラギン酸反復配列の多型が軟骨形成を抑制し、変形性関節症の罹病性を上げる 2005年2月1日 Nature Genetics 37, 2 doi: 10.1038/ng1496 変形性関節症は最もよく見られるタイプのヒトの関節炎である。我々は変形性関節症の患者の関節の軟骨において多量に発現される細胞外マトリックス成分である、アスポリンの変形性関節症の病態における役割について調べた。本論文では、アスポリンをコードする遺伝子(ASPN)のアスパラギン酸(D)反復配列にみられる多型と変形性関節症の間に有意な関連があることを報告する。膝の変形性関節症の独立した2つの患者集団において、ASPNのD14対立遺伝子は一般集団に最も多いD13対立遺伝子に比べて多く見られ、その頻度は病気の重症度に応じて増加していた。また、D14対立遺伝子は股関節の変形性関節症の患者においても高頻度に見られた。軟骨形成のin vitroモデルにおいてアスポリンはTGF-βによって誘導されるアグリカン(AGC1)やII型コラーゲン(COL2A1)の発現を抑制し、プロテオグリカンの蓄積を抑制した。TGF-βの活性に対する効果は対立遺伝子特異的であり、D14対立遺伝子は他の対立遺伝子よりもより強い抑制効果を示した。in vitroでの結合アッセイではアスポリンとTGF-βの直接的な結合が見られた。以上をまとめると、これらの知見は細胞外マトリックスタンパク質と、TGF-β活性と病気のあいだの、今までとは違った別の機能的つながりを示すもので、変形性関節症の新しい治療戦略を示唆するものである。 Full text PDF 目次へ戻る