Research Highlights アフリカ人家系の低LDLコレステロール血症患者はPCSK9のナンセンス変異によるものが多い 2005年2月1日 Nature Genetics 37, 2 doi: 10.1038/ng1509 低密度リポタンパク受容体(LDLR)は、低密度リポタンパク質(LDL)を循環血液中から取り除くことによって高コレステロール血症やアテローム性動脈硬化を防ぐ。LDLRもしくはそのリガンドであるAPOBをコードする遺伝子のいずれかの変異によって、重篤な高コレステロール血症が起こる。PCSK9は、分泌経路の中のセリンプロテアーゼをコードするが、これのミスセンス変異も高コレステロール血症の原因となる。PCSK9をマウスの肝臓に過剰発現させるとLDLRの数を減少させることによって高コレステロール血症を起こすので、これらの変異はおそらく機能獲得型変異である。機能喪失型PCSK9変異が反対の効果をもたらすかを、LDLの血漿濃度が低い128人の被験者(50%アフリカ系アメリカ人)に対してPCSK9のタンパク質コード領域の塩基配列を決定することにより調べた。その結果、2つのナンセンス変異(Y142XとC679X)を発見した。これらの変異はアフリカ系アメリカ人において共通していた(複合頻度、2%)が、ヨーロッパ系アメリカ人においては稀であり( < 0.1%)、血漿中LDLコレステロールレベルが50%減少することと関連していた。これらのデータは、選択された集団の中で共通にみられる配列の変化が、血漿コレステロールレベルに大きな影響を及ぼしていることを示唆する。 Full text PDF 目次へ戻る