Research Highlights ヒト前立腺癌における転写因子ATBF1の高頻度の体細胞変異 2005年4月1日 Nature Genetics 37, 4 doi: 10.1038/ng1528 癌はしばしば多数の遺伝子変異の蓄積から生じる。ほとんどの悪性腫瘍が散発性であるが、散発性の癌においては少数の遺伝子のみが高頻度に変異を受けることが示されている。第16染色体の長腕はさまざまなヒト癌において高頻度に欠失しているが、この欠失の標的となる遺伝子は同定されていない。今回我々は、ATBF1(AFPとMYBを負に制御するがCDKN1Aを転写活性化する転写因子をコードする)が、16q22の癌抑制遺伝子としてよい候補であることを報告する。我々は、16q22における欠失領域をATBF1を含む861kbにまで狭めた。ATBF1 mRNAは、正常前立腺では豊富に存在するが、調べた前立腺癌の約半分においては少なかった。調べた66の癌のうち24(36%)において、我々は22の特有の体細胞変異を同定した。その多くがATBF1機能を損なうものであった。さらに、ATBF1は細胞増殖を抑制した。したがって、ATBF1の欠失は前立腺癌における増殖制御の欠如を決定する1つの機構である。 Full text PDF 目次へ戻る