Research Highlights
自己免疫疾患の遺伝的基盤
Nature Genetics 37, 5 doi: 10.1038/fake26
関節リウマチ、甲状腺疾患、狼瘡などの自己免疫疾患に対する感受性と関連する1つの遺伝子が同定されたことがNature Geneticsの5月号に報告される。免疫系が自分自身の体内組織を攻撃する自己免疫疾患について、複数の種類の自己免疫疾患に共通する危険因子としての遺伝子多型を同定する研究が続々と発表されているが、今回の発見は、その中でも最新のものである。
山田亮(理化学研究所遺伝子多型研究センター)たちは、免疫系の制御に関与している可能性のある受容体をコードするFCRL3遺伝子の1つの多型が、上記の自己免疫疾患の1つにかかっている日本人に有意な程度に多く見られることを発見した。この遺伝子多型は、FCRL3遺伝子の発現を促進するNF-kBという因子の結合親和性に影響を及ぼその結果、FCRL3と複数の自己抗体の産生量が増加する。
これらの自己抗体は、特に関節リウマチのマーカーとして良く知られている。今回の発見は、別の独立した日本人被験者グループでも再現されており、結果の信頼性を高めている。ただし、他の人種グループでも同様の関連性が観察できるかどうかについては、今後の研究を待たなければならない。