Research Highlights
子癇前症に対する感受
Nature Genetics 37, 5 doi: 10.1038/fake27
Nature Geneticsの5月号には、子癇前症に対する感受性に関連する遺伝子の同定を報告する論文が掲載されるが、これによれば子癇前症が遺伝する理由を説明できる。子癇前症とは、妊娠時によく見られる重度の合併症で、高血圧と腎機能障害を症状とする。
VU大学医療センター(オランダ・アムステルダム)のCees Oudejansたちは、大半の子癇前症患者が、特定の1つの遺伝子の多型を母親から受け継いでいることを発見し、この多型の機能が、他のほとんどの多型よりも劣っているという見方を示している。ここで興味をそそられるのは、栄養膜細胞が子宮内壁に侵入するという重大な段階において、この遺伝子のうち母親から受け継いだ遺伝子のみが発現する点で、そのために、妊娠過程は、この遺伝子の機能喪失による影響を受けやすくなっているのである。この論文では、この遺伝子が胎盤において本来の機能を失っていることが子癇前症の原因となっていることが示唆されている。今回は、オランダ国内22ヵ所の病院のデータベースから姉妹の2人以上が子癇前症にかかっている家族が特定され、その家族における67例の子癇前症が研究対象となった。