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酵母におけるゲノムスクリーニングによりハンチントン病の創薬標的としてキヌレニ‐モノオキシゲナーゼの関与を明らかにする

Nature Genetics 37, 5 doi: 10.1038/ng1542

ハンチントン病は、ハンチンチン(Htt)というタンパク質におけるポリグルタミン領域の伸長によって引き起こされる致死的な神経変性疾患である。ポリグルタミン領域の伸長により、Httの凝集が引き起こされ、核および細胞質に封入体を形成する。我々は近年、酵母遺伝子において変異Htt断片の毒性を高める52の機能喪失性変異を同定した。今回我々は、ゲノム全体の機能喪失性抑制因子のスクリーニングにより、変異Htt断片の毒性を抑制する28の遺伝子欠失を同定したことを報告する。これらの抑制因子は、小胞輸送、液胞での分解、転写、およびプリオン様の凝集において役割を担っていることが知られているか、あるいは予測されている。最も強力な抑制因子としてBna4(キヌレニン3-モノオキシゲナーゼ)があった。これは、トリプトファン分解のキヌレニン経路における酵素で、活性酸素種に関与する可能性のある機構によって、ヒトにおけるハンチントン病の病態生理に直接結びつけられるものである。この所見は、ポリグルタミン毒性に関する酵母からヒトまでの保存された機構を示唆し、ハンチントン病治療の創薬標的として新しい候補を同定するものである。

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