Letter II型ネフロン癆において変異している遺伝子の産物であるインベルシンは、Wntシグナル伝達経路間の分子スイッチとして機能する 2005年5月1日 Nature Genetics 37, 5 doi: 10.1038/ng1552 嚢胞性腎疾患は、尿細管上皮細胞の一次繊毛という固有の細胞内局在を共有する複数のタンパク質のいずれかの変異によって引き起こされる。繊毛タンパク質インベルシンの変異は、多数の腎嚢胞、逆位および腎不全を特徴とする常染色体劣性嚢胞性腎疾患のII型ネフロン癆を引き起こす。本論文では、インベルシンが異なったWntシグナル伝達カスケード間の分子スイッチとして働くことを報告する。インベルシンは、細胞質内のdishevelled(DshあるいはDvl1)を標的として分解させることで、標準Wnt経路を抑制する。同時にインベルシンは、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)胚の原腸形成における収束的伸展(convergent extension)運動およびアニマル・キャップ外植片の伸長に必要とされるが、この両方は非標準Wntシグナル伝達によって調節される。ゼブラフィッシュにおいては、構造的に関連のあるスイッチ分子ジベルシンは、インベルシンの減少によって引き起こされる腎嚢胞を改善する。このことから、標準Wntシグナル伝達の抑制が正常な腎発生に必要であることを意味するのではないかと考えられる。液流量が繊毛尿細管上皮細胞におけるインベルシンのレベルを増加させ、腎発生期にWntシグナル伝達経路間のこの重要なスイッチを調節するようである。 Full text PDF 目次へ戻る