Research Highlights

メラノーマに関連する変異の発癌活性を評価するためのヒト組織の利用

Nature Genetics 37, 7 doi: 10.1038/ng1586

メラノーマは致死性の皮膚の悪性腫瘍であり、その発症率は増加している。メラノーマでは多数の遺伝的変化が生じるが、その中に、Rasおよびそのエフェクターカスケードに属する2つの分子(Rafおよびホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K))を活性化する変異がある。RasおよびRafの誘導は、遺伝子増幅によるものだけでなく、活性型N-RasおよびB-Raf変異体によっても引き起こされうる。PI3K経路の構成分子の活性化は、PTENの欠失およびAKT3の増幅によって引き起こされる。一般的にメラノーマにおいても、p16INK4A-CDK4-RbおよびARF-HDM2-p53の腫瘍抑制経路の障害が示されている。CDKN2Aの変異によってp16INK4AおよびARFタンパク質の欠失が引き起こされうる。CDK4の増幅だけでなくCDK4の活性型変異を介して、Rbの別経路も生じる可能性がある。ARF欠失に加えて、ドミナントネガティブTP53変異によってもp53経路の阻害は可能である。TERTの増幅もまたメラノーマで起こる。これらの変異によるヒトのメラノサイト性の腫瘍形成能については知られていない。今回我々は、ヒトのメラノサイト性の腫瘍形成を引き起こすことのできる経路の特徴を明らかにし、遺伝的に変化したヒト組織を利用することによって、ヒト腫瘍で観察される変異の機能解析が促進されることを示す。

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