Letter 逆位によりHoxdクラスターを破壊して、調節配列を分割する 2005年8月1日 Nature Genetics 37, 8 doi: 10.1038/ng1597 脊椎動物のHox遺伝子転写の発生過程における調節は、局所からの調節と遠距離からの調節の両方が働くことに依存する。我々はこうしたゲノムの複雑な構成を詳しく調べる方法として、減数分裂期組換えと標的組換えを組み合わせて、胚性幹細胞を扱うことなく、in vivoで大規模な染色体再編成を引き起こす手法を開発した。この簡単な研究方法(STRINGという)を用いて、Hoxdクラスターを2つの別個の領域に分割する7-cMの大きなゲノム領域に逆位を生じさせることができた。発現解析から、ゲノム領域の逆位によってクラスター全体のエンハンサーが分離されていることが明らかになり、これによってエンハンサーの、クラスターの両側における正確な位置特異的分布を知ることができた。機能上、このように構成されているために、この遺伝子群は脊椎動物の進化の過程においてクラスターを形成し続けたと考えられる。本法を用いて、ゲノムの構造と遺伝子発現の関係、例えば、ヒトの疾患または進化過程におけるゲノム再編成を研究することが可能である。 Full text PDF 目次へ戻る