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古細菌DNA修復タンパク質Hefのヒトオーソログ分子はファンコニ貧血相補群Mにおいて異常が認められる

Nature Genetics 37, 9 doi: 10.1038/ng1626

ファンコニ貧血はゲノム不安定性と癌体質を特徴とする遺伝病である。ファンコニ貧血に関与する9つの遺伝子が同定されており、それらの産物はBRCA1とBRCA2が関与するDNA損傷応答ネットワークにかかわっている。我々はこれまでに、FANCLユビキチンリガーゼを含むファンコニ貧血コア複合体と他のファンコニ貧血関連タンパク質6つを精製した。この複合体に含まれるタンパク質はそれぞれ、ファンコニ貧血DNA損傷応答経路における主要な反応であるFANCD2のモノユビキチン化に不可欠である。本論文では、この複合体の別の構成要素(FAAP250)が、ファンコニ貧血の新しい相補群(FA-M)の患者において変異していることを示す。FAAP250あるいはFANCMは、古細菌のHef、酵母のMPH1およびヒトのERCC4あるいはXPFなどの、既知のDNA修復タンパク質と配列類似性がある。FANCMは、三重らせんDNAを解離できるが、これはもしかすると二本鎖DNA上を移動する能力によるのかもしれない。FANCMは、FANCD2のモノユビキチン化に不可欠であり、DNA損傷に応答して過剰にリン酸化を受ける。我々のデータは、ファンコニ貧血関連タンパク質とDNA修復の間の進化的な関連について示唆している。FANCMはDNAに沿ってファンコニ貧血コア複合体の位置を変えさせる原動力として機能するのかもしれない。

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