Letter

BRIP1ヘリカーゼは、BRCA1とは別個に、ファンコニ貧血経路においてDNA架橋の修復に機能する

Nature Genetics 37, 9 doi: 10.1038/ng1627

BRIP1(BACH1とも呼ばれる)はDEAHへリカーゼであり、BRCA1のBRCTドメインと相互作用し、BRCA1依存性DNA修復とチェックポイント機能において重要な役割を果たす。我々は、BRIP1のニワトリのオーソログ遺伝子をクローニングし、ニワトリB細胞株DT40においてホモ接合性ノックアウトを作製した。これらのbrip1変異細胞のDNA損傷に対する表現型はbrca1変異細胞のものとは異なり、fancc変異細胞の表現型に酷似している。すなわち、DNA架橋剤シスプラチンに対する高感受性や、S後期-G2期における細胞周期の緊急停止が生じている。これらの異常は、BRCTとの相互作用ドメインを欠くヒトBRIP1を発現させると修正された。さらに、マイトマイシンCにさらされたヒト細胞では、短鎖干渉RNA(siRNA)によるBRIP1のノックダウンは染色体異常の大幅な増加を引き起こし、これはファンコニ貧血患者由来の細胞に特徴的な表現型である。brip1変異細胞においてFANCD2タンパク質のユビキチン化が盛んに起こることから、本研究結果は、BRIP1がファンコニ貧血経路において、BRCA1とは無関係に、しかもFANCD2の活性化の下流で機能することを示唆するものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度