Article 活性酸素種の産生の違いはマウスの共通ミトコンドリアDNA多型に関連する表現型である 2006年11月1日 Nature Genetics 38, 11 doi: 10.1038/ng1897 ヒトやマウスにみられる共通ミトコンドリアDNA(mtDNA)ハプロタイプは、学習効果や疾患浸透率をはじめとするさまざまな表現型に関連していることがわかっている。そのようななかで、細胞呼吸に関しては、mtDNAハプロタイプの影響がまったくないことが示された。本論文では、マウスの4つの異なる共通mtDNAハプロタイプをもつ細胞系では、これらの細胞系がよく似た呼吸レベルを示すのは見かけ上にすぎず、活性酸素種がさまざまなレベルで産生されることで引き起こされる代償機構の結果であるということを示す。このとき用いられたマウスは、核における遺伝的背景が同一のものが使われた。mtDNA分子あたりの呼吸能力は、NIH3T3かNZBのmtDNAをもつ細胞のほうが、C57BL/6J、CBA/J、もしくはBALB/cJのmtDNAをもつ細胞よりも低いことが観察された。我々は、このような呼吸能力の差を生じさせる遺伝因子を決定することができた。本研究成果は、共通mtDNA多型と関連する複雑な表現型の根拠を分子レベルで理解する手がかりを与え、さらに、mtDNAの一塩基多型がヒトの多様な表現型に関連していることを予測するものである。 Full text PDF 目次へ戻る