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DMP1の欠損によって、くる病と骨軟化症が引き起こされ、そのことから無機質代謝における骨細胞の役割が明らかになる

Nature Genetics 38, 11 doi: 10.1038/ng1905

骨細胞は、骨のすべての細胞の90%~95%を占める最終分化した細胞で、骨の(リ)モデリングにおけるメカノセンサー(機械刺激感受細胞)として機能するなど、多数の役割を担っている可能性がある。象牙質基質タンパク質1(DMP1によってコードされる)は骨細胞に高発現しており、マウスにおいて欠失すると表現型としては骨の低石灰化を示す。我々はこの遺伝子のもつ可能性について、骨格の石灰化誘導に加え、リン(Pi)恒常性の調節についても調査した。Dmp1ヌル欠損マウスと、新たに同定された疾患である常染色体劣性の低リン酸血症性くる病を罹患するヒトの両方が、繊維芽細胞増殖因子23(FGF23)レベルの上昇と正常範囲のカルシウム尿に関連する孤立性の腎臓のリン過剰排泄をともなう、くる病および骨軟化症を示した。変異解析から、常染色体劣性の低リン酸血症性くる病の家系にはDMP1の開始コドンに影響を与える変異があること、また、別な家系では高度に保存されたDMP1のC末端に影響を与える7 bpの欠失があることが示された。Dmp1ヌル欠損マウスを使ったメカニズムに関する研究から、DMP1が存在しないと、骨細胞の成熟障害やFGF23発現の増加が引き起こされ、その結果、骨の石灰化における病理変化につながることが示された。我々の結果は、骨‐腎臓軸が適切な無機質代謝誘導の中心であることを示唆するものである。

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