Letter

毒性Agrobacterium tumefaciens感染でのRNAサイレンシング経路の誘導、抑制および要求性

Nature Genetics 38, 2 doi: 10.1038/ng1722

マイクロRNA(miRNA)による遺伝子発現調節および短い干渉RNA(siRNA)によるウイルス抵抗性は、いずれもRNAサイレンシングの一種である。RNAサイレンシングはもともと、無毒化したAgrobacterium tumefaciens株による植物の形質転換で意図せざる帰結として発見されたプロセスである。細胞はRNAサイレンシングによって外来の遺伝因子から守られているが、腫瘍誘導性をもつ有毒な細菌に対するその防御的役割は解明されていない。本論文では、導入されたDNA(T-DNA)の腫瘍誘発遺伝子に対応するsiRNAが、はじめに有毒A. tumefaciens感染組織に蓄積すること、およびRNA干渉欠損植物体がきわめて病原体に脆弱であることを示す。感染の成立には、siRNAの合成を特異的に阻害する強力な抗サイレンシング状態が腫瘍のなかに形成されることが必要である。siRNA合成の阻害がmiRNA経路に及ぼす副作用は軽微なものにすぎず、今回それが病害の進展に不可欠であることがわかった。植物ウイルス感染時の状況との対比により、A. tumefaciensのRNAサイレンシング相互作用がもつ類似性および特異性を検討する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度