Letter 線虫Caenorhabditis elegansの脂肪蓄積の多遺伝子による制御 2006年3月1日 Nature Genetics 38, 3 doi: 10.1038/ng1739 Tubbyマウスとバーデット・ビードル症候群の患者には、繊毛神経機能の障害と肥満がみられ、未知の代謝シグナル軸が繊毛神経から脂肪蓄積組織に対して働いていることを示唆している。本論文では、繊毛神経で働く遺伝子のオーソログと脂肪蓄積組織で働く3ケトアシルCoAチオラーゼ(kat-1によってコードされる)によって、線虫の脂肪蓄積が協調して調節されていることを示す。tub-1変異における際立った脂肪蓄積の増大を遺伝学的にスクリーニングした結果、kat-1対立遺伝子だけが同定され、これが脂肪酸の酸化を障害していた。kat-1は線虫の主たる脂肪蓄積組織である小腸で働いており、高度な脂肪蓄積をもつ動物では転写レベルで上昇している。遺伝学的スクリーニングにより、kat-1変異体の脂肪蓄積の相乗的な増加を調べた結果、bbs-1が同定された。bbs-1は15の繊毛神経において、外部あるいは内部の栄養レベルを感知する働きをしており、bbs-1とtub-1が繊毛神経において祖先から保存されてきた神経内分泌軸の一部を構成しているというモデルを支持する。この経路はまた、鞭毛間の輸送タンパク質とサイクリック・ヌクレオチド依存性チャンネルをコードする遺伝子を含んでおり、線虫の脂肪蓄積は多遺伝子の制御のもとにあることを示している。 Full text PDF 目次へ戻る