Letter フィラグリンをコードする遺伝子の機能喪失性変異は尋常性魚鱗癬を引き起こす 2006年3月1日 Nature Genetics 38, 3 doi: 10.1038/ng1743 尋常性魚鱗癬(OMIM146700)は、ヒトにおいて、最も一般的な遺伝性角質化異常であり、最もよく見られる単一遺伝子病の1つである。広く引用されている発生率の数値は、健康なイギリスの学童6,051人の調査にもとづいたもので、250人に1人である。我々は、15家系における中程度あるいは重度の尋常性魚鱗癬の原因として、フィラグリンをコードする遺伝子(FLG)のホモ接合性ないしは複合へテロ接合性の変異R501Xと2282del4を同定した。加えて、これらの変異は半優性である。つまり、ヘテロ接合性の人は不完全浸透で、その表現型は非常に軽度である。これらの変異のヨーロッパ系集団における対立遺伝子頻度を複合すると約4%となるが、これは尋常性魚鱗癬の高発生率の説明となる。プロフィラグリンは表皮のケラトヒアリン顆粒に含まれる主要なタンパク質である。最終分化の過程で、プロフィラグリンは切断されて、ケラチンフィラメント凝集作用をもつ多数のフィラグリンペプチドになる。この結果生じる基質は、架橋されて、角化細胞膜(cornified cell envelope)の主要な構成要素を形成する。我々は、この重要な構造タンパク質の欠損あるいは減少が、さまざまな程度の角質化異常を引き起こすことを見いだしている。 Full text PDF 目次へ戻る