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皮膚における形態形成は、別個の、発現に差のあるマイクロRNAによって決定される

Nature Genetics 38, 3 doi: 10.1038/ng1744

胚発生の間に、一層からなる表層上皮内に存在する多分化能を示す前駆細胞は分化して、表皮とその付属器を形成する。本論文では、マイクロRNA(miRNA)がこれらの事象が正常に起こるために欠かすことのできない役割をもつことを示す。我々は、皮膚由来の100を超えるmiRNAをクローニングし、表皮と毛包においては個々のmiRNAファミリーの発現に差があることを明らかにした。この知見の機能上の重要性を検討するため、我々は胚性皮膚前駆細胞においてDicer1遺伝子を欠損させるコンディショナル遺伝子ターゲティングを行なった。miRNAの発現喪失から1週間以内においては、細胞運命の決定や分化はそれほど明らかに損なわれてはおらず、また、毛包間表皮においてアポトーシスが著しく増加してはいなかった。ところが、注目に値するのは、発生中の毛芽が陥入するのではなく外転しており、その結果、表皮組織が乱されていることである。本論文で我々は、現在までにその存在が認識されていなかった皮膚のmiRNAの特性を解析し、その発現に差があること、ならびにこの生命維持に必須である器官内での上皮組織の形態形成におけるmiRNAの重要性を明らかにする。

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