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電位依存性カリウムチャネルKCNC3の突然変異は中枢神経系に変性疾患および発達障害の表現型を引き起こす

Nature Genetics 38, 4 doi: 10.1038/ng1758

カリウムチャネルの突然変異が反復性神経系疾患において報告されている。本論文では、K+チャネルの突然変異が、神経発達および神経変性における疾患表現型の原因となることを報告する。成人発症型運動失調を呈するフィリピン人家系における原因遺伝子は19q13に位置しており、小児発症型運動失調および認知遅延を示すフランス人家系で報告されたSCA13という疾患遺伝子座と重複している。この領域は、電位依存性Shawチャネルをコードしており小脳で高度に発現する、KCNC3Kv3.3としても知られる)を含む。塩基配列から2つのミスセンス突然変異が明らかになり、この変異は両方ともアフリカツメガエルXenopus laevis発現系におけるKCNC3の機能を変化させていた。電位感知ドメインに位置しているKCNC3R420Hは、単独で発現された場合にはチャネル活性をもたず、野生型チャネルと同時発現されると優性阻害効果を示した。KCNC3F448Lは活性化曲線を負の方向に移動させ、チャネルの閉鎖速度を落とした。したがってKCNC3R420HおよびKCNC3F448Lは、KCNCチャネルによって高頻度の神経刺激伝達能を有する小脳神経の、迅速なスパイク発生という出力特性を変化させると予想される。本研究成果は、発達障害から成人発症型神経変性におよぶ疾患表現型におけるKCNC3の役割を明らかにするものであり、その他の神経変性疾患の原因が電位依存性K+チャネルである可能性を示唆している。

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