Letter 遺伝的なクローン多様性から食道腺癌への進展が予測できる 2006年4月1日 Nature Genetics 38, 4 doi: 10.1038/ng1768 腫瘍は、細胞の多様性をもたらす遺伝的不安定性と、癌遺伝子における突然変異の選択によって促進されるクローン増殖を介して、癌へと進展すると考えられる。癌遺伝子についての分子生物学的研究の進歩にかかわらず、腫瘍の進展を促進する機構についてはあまり知られていない。例えば、クローン増殖によって生じると考えられる腫瘍の遺伝的均質化と、クローン多様性の蓄積のどちらが、将来的な腫瘍の進展をより正確に予測するかは明らかでない。本論文では前向き研究（prospective study）をおこない、生態系や進化の多様性評価に準じてクローン多様性を評価することで、TP53（p53）の変化や倍数性の異常をはじめとする従来の遺伝的リスク因子との比較対照でも、バレット食道（Barrett's esophagus）として知られる前癌状態において食道腺癌への進展を予測できることを明らかにする。自然選択が決定するクローン多様性の蓄積を介した癌への進展は、腫瘍形成についての、臨床的に意義のある重要な基本原理でありうる。 Full text PDF 目次へ戻る
