Letter 膵β細胞におけるPDK1の欠損によりβ細胞量が著しく減少し糖尿病が引き起こされる 2006年5月1日 Nature Genetics 38, 5 doi: 10.1038/ng1774 ランゲルハンス島(膵島)の全質量は2型糖尿病患者において減少しており、このことがこの病気の発症機序に寄与している可能性がある。膵島量の調節は複雑であるが、最近の研究から、インスリンあるいはインスリン様成長因子1受容体、インスリン受容体基質およびホスファチジルイノシトール(PI)3キナーゼを含むシグナル伝達経路の重要性が示唆されている。3-ホスホイノシチド依存性プロテインキナーゼ1(PDK1)は、PI 3キナーゼの下流のシグナル伝達を仲介するセリン・スレオニンキナーゼである。本論文では、膵β細胞特異的にPDK1を欠損したマウス(βPdk1-/-マウス)は、膵島量の著しい減少のために進行性の高血糖を発症することを示す。このマウスは膵島密度の減少、β細胞の数および大きさの減少を示す。転写調節因子Foxo1をコードする遺伝子のハプロ不全は、β細胞の大きさではなく、数を明らかに増加させ、また、βPdk1-/-マウスにおけるグルコース恒常性を回復させた。これらの結果は、PDK1が膵β細胞量とグルコース恒常性の維持に重要であることを示唆している。 Full text PDF 目次へ戻る