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ヘモジュベリン(hemojuvelin)を介する骨形成タンパク質シグナル伝達はヘプシジンの発現を調節する

Nature Genetics 38, 5 doi: 10.1038/ng1777

ヘプシジンは体内の鉄ホメオスタシスの主要な調節因子である。ヘプシジンの欠乏は鉄過剰を引き起こし、一方、ヘプシジンの過剰は貧血を引き起こす。ヘモジュベリン(HFE2、別名HJV)をコードする遺伝子の変異は、重度の鉄過剰を引き起こし、また、低ヘプシジン量をともなう。このことから、ヘモジュベリンがヘプシジンの発現を正に調節していることが示唆される。ヘモジュベリンは反発性誘導分子(RGM)ファミリーに属しており、また、このファミリーには骨形成因子(BMP)のコレセプターであるRGMAおよびDRAGON(RGMB)も含まれている。本論文では、ヘモジュベリンがBMPのコレセプターであり、ヘモクロマトーシスに関連する変異型ヘモジュベリンでは、BMPのシグナル伝達能力が損なわれていることを報告する。さらに、BMPは肝細胞においてヘプシジンの発現を上昇させる。この過程はヘモジュベリンによって高められ、Hfe2-/-肝細胞においてはその上昇の程度が鈍い。我々のデータは、HFE2の変異がヘモクロマトーシスを引き起こす機構、つまり、ヘモジュベリンの機能不全がBMPのシグナル伝達を減少させ、それによってヘプシジンの発現を低下させるという機構を示唆している。

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