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うどんこ病発生で不変的に必要とされる植物宿主細胞タンパク質

Nature Genetics 38, 6 doi: 10.1038/ng1806

子嚢菌門は、動植物を罹病させる能力の獲得と喪失とを系統発生の過程で繰り返してきた。単子葉類のオオムギでは、機能喪失型mlo対立遺伝子が子嚢菌Blumeria graminis f. sp. hordei(うどんこ病の病原体)に対する有効免疫を与える。ただし、mloによる病害抵抗性はこれまでオオムギに特有の現象と考えられてきた。本論文では、双子葉類の植物種であるシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)のうどんこ病発生でもやはりMLOタンパク質が必要であることを示す。エピスタシス解析により、エチレン、ジャスモン酸、およびサリチル酸というシグナル伝達分子はA. thalianamlo抵抗性に関与せず、必要なのはシンタキシン、グリコシルヒドロラーゼ、およびABC輸送体であることがわかった。今回の知見から、うどんこ病菌の一般的宿主細胞侵入機構は、遅くとも2億年前に発達したものと考えられ、その病原性は系統発生以来安定した形質であったことが示唆される。

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