Letter ショウジョウバエのポリコーム標的遺伝子の全ゲノム解析 2006年6月1日 Nature Genetics 38, 6 doi: 10.1038/ng1817 ポリコーム群(PcG)複合体は複数のタンパク質からなる集合体であり、クロマチンに結合して、クロマチン構造をエピジェネティックな遺伝子発現抑制を導く状態に維持している。PcGタンパク質はハエや脊椎動物のホメオティック遺伝子を調節するが、ホメオティック遺伝子以外のPcGの標的遺伝子や、PcGが発生、分化、疾患に果たす役割については、ほとんど知られていない。本論文では、ショウジョウバエDrosophila melanogasterのゲノムにおける、PcGタンパク質であるPC、E(Z)、PSCと、Lys27のトリメチル化されたヒストンH3(me3K27)の分布を決定した。200を上回るPcGの標的遺伝子で、3種のPcGタンパク質の結合部位は、ポリコーム応答エレメント(PRE)とされる配列と共局在している。それに対して、ヒストンH3のme3K27は、転写単位と調節領域の全体を含む広域にわたるドメインを形成する。PcGタンパク質の標的は転写因子をコードする遺伝子に存在することが非常に多いが、主要な発生経路にかかわる受容体やシグナル伝達タンパク質、モルフォゲン、調節因子をコードする遺伝子にも含まれている。 Full text PDF 目次へ戻る