Letter 遺伝子発現における種間の遺伝的パターン 2006年7月1日 Nature Genetics 38, 7 doi: 10.1038/ng1819 遺伝子表現型の多様性はその構造または調節における変化によって生み出される。全ゲノム配列が解読されたことにより、遺伝子配列の進化の経緯を解析することが可能になった。一方、遺伝子発現の違いを生じさせる仕組みの解明はほとんど進んでいない。本論文では、4種類の酵母近縁種のさまざまな環境ストレスに対する転写応答の違いについて述べる。プロモーター領域にTATAボックスを含む遺伝子では、その機能的な関連性とは関係なく、種による遺伝子発現の違いが亢進されていた。酵母以外のデータセットを調べたところ、TATAを含む遺伝子で観察される遺伝子発現の相違は、線虫、ショウジョウバエ、植物、哺乳類などの、現在までに塩基配列が明らかにされているすべての真核生物において共通して、大きくなっていることがわかった。TATA依存性の遺伝子調節によって、遺伝的ゆらぎに応じた遺伝子発現の変化が増大するため、特定の遺伝子座における発現の違いが次第に大きくなるのではないかと考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る