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クロストリジウム-ディフィシレ菌のゲノム

Nature Genetics 38, 7 doi: 10.1038/ng1830

主要な院内感染性ヒト病原体の一つであるクロストリジウム-ディフィシレ菌(Clostridium difficile)のゲノム配列がNature Geneticsの7月号で発表される。この嫌気性芽胞菌は、全世界の入院患者における感染性下痢の代表的な原因の一つとなっている。C. difficile感染に伴う疾患は、抗生剤による下痢から、命に関わる偽膜性大腸炎(別名:抗生物質起因性大腸炎)などの重症疾患まで多岐にわたっている。  サンガー研究所(英国)のJulian Parkhillたちがゲノム配列の解読をしたのはC. difficileの中でもビルレンス(毒力・菌力)が強く、多剤耐性を有する菌株「630」で、スイス・チューリッヒの病院に入院している重症の偽膜性大腸炎の患者から単離されたものである。病院内の同じ病棟の患者数名が同じ菌株に感染しており、「630」菌株には感染力があることが示唆されている。興味深いのは、この菌株のゲノムに数多くの可動性因子が見られ、存在が予想される遺伝子の多様性が近縁のC. difficile菌株より大きい点である。Parkhillたちは、これが人間の消化器内の環境に適応するための因子の進化・獲得メカニズムであり、病原体のビルレンスあるいは薬剤耐性と関連している可能性があるという見方を示している。

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