Brief Communication 精神遅滞の高頻度な原因の一つが特定される 2006年9月1日 Nature Genetics 38, 9 doi: 10.1038/ng1853 Nature Geneticsの9月号に掲載される3本の論文では、17番染色体に含まれる大きなDNA領域の欠失を精神遅滞の高頻度な原因の1つとして特定し、説明を加えている。この欠失は、いくつかの遺伝子にまたがっており、かなりの数の人々が逆向き配列として有しているDNA領域と関連している。 この欠失は高い頻度で起こり、3つの研究で実施されたスクリーニング調査の対象となった集団に含まれていた精神遅滞の事例の約1%が該当していた。そして、この欠失は、ヨーロッパ系の人々に高頻度で見られる逆向き配列のうち、ある1つのタイプを有する人々の子供たちに特異的に見られた。また、この欠失のある人々は、特有の顔の特徴、行動の特徴、その他の臨床的特徴があり、臨床医が類似の症例を診断する上で役立つはずだ。 欠失遺伝子の1つであるMAPTは、これまでアルツハイマー病やパーキンソン病など神経変性疾患の原因とされていた。したがって、精神遅滞に伴う一部の特徴の原因を考える上で、この遺伝子の欠失は最有力候補の1つとなる。 Full text PDF 目次へ戻る