Letter マウス変異体解析:Mcm4の機能性対立遺伝子は、マウスにおいて染色体不安定性および乳腺腫瘍を引き起こす 2007年1月5日 Nature Genetics 39, 1 doi: 10.1038/ng1936 Mcm4(ミニ染色体維持が不十分な、酵母MCM4のマウスホモログ)は、MCM2-7(MCM2-MCM7としても知られる)複合体のサブユニットの1つをコードしている。MCM2-7は、複製ライセンス化因子であり、複製ヘリカーゼの候補である。順遺伝学的スクリーニングによって、染色体不安定性をもたらすマウスの突然変異Chaos3(chromosome aberrations occurring spontaneously 3:自然発生染色体異常3)が同定されているが、本論文では、これがMcm4の機能性対立遺伝子であることを報告する。Mcm4Chaos3 は、進化の過程で保存されたアミノ酸変化(F345I)をコードしており、産生されるMCM4は不安定化されているようである。これに対応する対立遺伝子を導入した出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeの変異株(F391Iという変化を生じた)は、典型的なミニ染色体を喪失した表現型を示した。Mcm4が破壊された対立遺伝子のホモ接合マウス(Mcm4-)は、着床前致死を引き起こす。これに対して、McmChaos3/-胚は妊娠後期で死に至り、これはMcmChaos3がハイポモルフであることを示唆している。突然変異をもつ胚性繊維芽細胞は、DNA合成阻害剤アフィジコリンによる染色体切断が高度に起こりやすかった。最も注目に値するのは、雌のMcm4Chaos3/Chaos3マウスの80%以上が12カ月という平均潜伏期間で乳腺腺癌によって死んだことである。これらの研究結果は、MCM2-7複合体のサブユニットをコードする遺伝子群のハイポモルフな対立遺伝子が、乳癌のリスクを増大させる可能性があることを示唆している。 Full text PDF 目次へ戻る