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加齢:DAF-16⁄FOXOは線虫(Caenorhabditis elegans)で腫瘍の成長を調節する遺伝子を標的とする

Nature Genetics 39, 11 doi: 10.1038/ng.2007.1

癌は加齢にともなう疾患であり、また、線虫(C.elegans)や哺乳類ではインスリン⁄インスリン様成長因子1(IGF-1)シグナル伝達の抑制によって、寿命が伸び、腫瘍抵抗性が増す。インスリン⁄IGF-1経路がどのようにこの2つの過程を結びつけるのかを調べるために、本論文では、線虫でのFOXOに相当する転写因子DAF-16の転写標的と推定される遺伝子を解析した(DAF-16は寿命と腫瘍抵抗性の両方を促進する)。検討した734遺伝子のうち29は、生殖細胞系列の腫瘍細胞の増殖あるいはp53依存的なアポトーシスに影響を与えた。また、これらの遺伝子のおよそ半分は正常な加齢にも影響を与えるので、この2つの過程のメカニズムの間には関係があると考えられる。これら29遺伝子の多くが、ヒトの既知の癌抑制遺伝子あるいは癌遺伝子のオーソログであることから、他の遺伝子も同様の機能をもつ可能性が示唆される。我々の結果から、p53依存的な細胞死では核膜孔の修飾の関与が考えられる。なぜなら、DAF-16によって発現が亢進する核膜孔遺伝子を抑制すると、腫瘍ではp53依存的な細胞死が阻害されるが、正常なp53非依存的生殖細胞系列の細胞死は阻害されないからである。

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