Letter 遺伝子発現:ヒト脳皮質での遺伝子発現における遺伝学的な調査 2007年12月1日 Nature Genetics 39, 12 doi: 10.1038/ng.2007.16 遺伝学者の興味の対象となる大部分の個人間、あるいは多くの量的形質の違いが、遺伝子発現における遺伝的な違いによるものであることは広く仮定されていることである。しかしながら、ヒトの遺伝子発現における遺伝的な可変性についてはほとんど報告がなく、また、ヒトの脳においての報告は皆無といってよい。というのは、このような遺伝的な可変性を見積もるための手段がこれまでのところなかったからである。今回、私たちは、全ゲノムSNPジェノタイピングアレイと全トランスクリプトーム発現アレイを用いて、このような実験を実現可能にした。私たちは、Affymetrix GeneChip Human Mapping 500K Array SetおよびIllumina HumanRefseq-8 Expression BeadChipプラットフォームを用いて、神経病理学的に正常な一連の193のヒト脳サンプルについて、全ゲノムにわたって遺伝子型判定と発現解析を行った。今回、私たちは全転写産物のうちで皮質で発現している58%についてのデータを示した。これらの転写産物は、サンプルのうちの少なくとも5%で皮質に発現していた。また、この皮質に発現していた転写産物のうち、21%は、遺伝子型に関連する発現プロファイルを有していた。これらの遺伝的な発現結果は、一般的な脳の疾患に関連する生物学的な根拠を見いだすのに、また、正常な遺伝子発現の制御に関わるゲノムの領域を解析する手助けとして有用であろう。 Full text PDF 目次へ戻る